落ちていく雫に
 感慨を抱くなど、
 それは望んでいないでしょう。

 わたしの名前を呼んでくれる人なんて
 どこにも居ないと思ってた。

 だからこそ、あの日突然に現れた光りに驚いて
 今もまだ戸惑って
 触れるどころか、直視することすら困難で。

 どうやったらあの光りの名前を呼ぶことができるだろう。

 掌に眠る過去の背を 優しさで暖めて
 移り変わる情景に心を求めないで

 あの時から何一つ変わっていないと
 そうわたしに教えててよ。

 本を読むでもなく
 ただ開いて
 気が向いた時にページをめくる。
 そしていつも時間がくると
 きみにもらった落ち葉のしおりを挟んで
 本を閉じ。
 ぼくは本を借りて帰るんだ。

 あの日にあなたを見た瞬間から
 わたしの中でずっと灯っている燭は

 針の山でも走りましょう
 炎の海でも泳ぎましょう
 沼の空でも飛んでみせます。

 あなたに命を捧げ。
 私は死を惜しまない。

 death without regrets.