青い空は目に痛くて。
雲ひとつない空の下は、とてもじゃないけど歩けない。
雲ばかりの薄暗い日は、ふらふらと歩きたくなって。
雨の日は一歩踏み出すごとに恐怖。
手が届くまで待っていて。
隣に並ぶには時間がかかるけど、
二人の腕の長さくらいは、
頑張って頑張って近付くよ。
折れそうな茎に背中を預けて、
ヘンな方向に曲がりそうな腕を掴む。
離れたくないよ、放したくないよ。歩きたくないよ。
消えない青の傷の真ん中に、
白く細い糸を垂らす。
白が蒼に染まる日を待つ。
紡ぐ言葉に嘘はないけど、
それでも、全面的に信じられると
キセキみたいに思えるよ。
顔を上げたら、
思い描いていた正解と違うからって、
そんなあからさまにがっかりしないで。
進むために、
歩むために、
近付くために。
どうしても必要だって、わかってるよ
縫うこともできなければ、
従うこともできなかった。
己を殺してれば、雨は上がるから。
耐え切れなくて、
雨を理由にあなたの元へ行った。
やっぱり好きなんだと、思い知らされた。
耳に届きにくい音を拾うために、
殊更に口を閉ざした。
剥がれて落ちて、
守るものがないにもないのに、
被るものがもうないのに、
それでも最後まで傘と共に。
痛む指を押えても、
痺れはいつまでもとれなくて。
どうしようもなく、守るように包んでた。
視界が塞がれる程の雨なのか、
目を閉じているだけなのか、それさえも判別が付かなくて。
鼓膜を震わせる雨の音だけが確か。
頑張らなきゃ、と言い聞かせて
なんとか傘を持つのよ。
白い世界だった。
どんよりとした鼠色じゃなく、
掴めない空気のような色だった。
**
白い世界はとても綺麗で、
すべてが洗われているように見えた。
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