知らずにいたことを罪というのなら、
隠していたキミはナニ。
泣きたくて、泣きたくて仕様がなかったけど。
ここで泣いてしまったら、
この涙は、ただの自分のための涙になる気がして。
どうしても、泣くわけにはいかないと意地をはった。
逃げるといいながらも、
走っては振り返り、走っては振り返り、
キミを確認する自分がキライだった。
恋しくて、恋しくて、たまらなかった。
待ち遠しくて、待ち遠しくて、
すぐにでも傍にいたかった。
雨の中で泣いたら誤魔化せるだろうか、
誰にも気付かれず、
すすり泣く音も、涙も雨に消える。
優しくて、暖かくて、
その手のひらだけが、ただ光って見えた。
拾わない、捨てない、流されない。
そう胸に刻んだのは何時。
拾われたから、
それを胸にしまって。
音を感じて、
静かな部屋に耳を傾けた。
逃げないように、
行かないように、
居なくならないように、
消えてしまうことのないように。
恋を殺していきましょう。
聞いたこともないような、
そんな言葉を聞いたようで、
しばらく手足が弛緩した。
ずっと一緒に居ることは、
不可能なのだと見せ付けられているようで
どうしても好きにはなれなかった。
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