耳に五月蝿く響く音は
終わりなどないかのように思えて
目覆う。
天気予報は曖昧で
念のために持っていった傘が役に立った
屋根のない場所でバスを待つ
きみは一人、傘もささずに。
四角い枠から見た景色は
灰色で
色鮮やかに動くものが見えた
ぼんやりときみのことを考えていると
いつの間にか雨が止んでいました。
けれど空は曇ったまま。
覚束ない足取りで
雨の街をゆく
不安定な心そのままに
ゆらゆらと
湿った心が
雨に濡れる
こないだの休みに買ったばかりの真新しい傘を差す。
ワンタッチ式で、大きめの、チェックの傘。
降ったり止んだりの、不安定な雲空の中、人混みを縫うようにふらふらと歩く。
傘を少し傾けながら、建物の合間に見える空をみる。
濡れるきみの左肩。
ぼくは気付いているというのに、何も言えなくて。
ただ、そのまま歩いてくんだ。
ふたり、幸せを語りながら。
流れるはずがないものが頬をつたう
ゆっくりと歩きながら
声にならない声で叫ぶ
どのくらい耳を塞いで目を閉じればいいのでしょう
自らを掻き抱いて
嵐が過ぎるのを待つその姿が。
いくら雨が冷たくとも
冬の寒さには敵いませんね
指も、耳も、痛くならないんですから。
落ちる雫に
吹ける風
少しずつゆっくりと、けれど確実にその身を蝕む
< 3 4 5 6 7 8 9