雨が降ったとようやっと気付くのは、
 次の日、目が覚めてから。

 ひとつ、ひとつ
 死んでいくように降り積もる
 藍のセカイ。

 窓からもみたし、外にも出た。
 引篭もっていたわけでもない。

 それでも、雪を?攫む?ことができなくて。
 手の中で、解けていくのを見たというのに。

読書。

2005年2月24日 雨降りの日。
 雨は嫌いだ。

櫛。

2005年2月19日 雨降りの日。
 時間など、ないような気さえするときばかり、
 雨が降って、雪が降る。
 だからこそ、少し時間を取り戻したり、我に帰ることもあるけれど。
 殆どは、ただその冷たさに怯えるだけ。

 朝、ぼんやりとした頭で、夜のうちに雪が降ったことを知る。
 確か、意識は5時か6時くらいまであったから、
 それなら、布団になんか入ってないで起きて居ればよかったと、想った。
 雨の降る音も、雪の降る音も聴こえなくて、
 かすかな振動音と、風の音、電車の音ぐらいしか耳には響かない。
 昼過ぎ、布団から抜け出して、外を見た。
 隣の家の屋根が白かった。
 それを、見ただけだった。

 冷たい雨の日は、
 ただただ部屋に篭って、
 雨を自分で確かめることなく、日を過ごす。

軌道。

2005年2月8日 雨降りの日。
 油断していると、
 降るように、落ちるように来るものだから。
 距離を置きながらも、決して視ることをやめられないんでしょうね。

 冬の気配がしなかったから
 雨の姿しか見えなかったから

天上。

2005年1月15日 雨降りの日。
 覚束ない足元は、
 決して天気のせいではなくて、
 だから、今、ここで雨を止ませても仕方のないこと。

溶ける。

2004年12月31日 雨降りの日。
 消さないで
 消えないで
 ひと時の永遠ぐらいあると信じさせて。

素面。

2004年12月29日 雨降りの日。
 雪がやんで、雨もやんで。
 あなたとは現実の中でしか逢えないんですね。

手形。

2004年12月12日 雨降りの日。
 寝てる間に降った雨は
 外に出たときにはもう
 コンクリートに残る痕跡しか
 そこにきみが居たことを知らせてはくれない。

片手。

2004年12月4日 雨降りの日。
 久しぶりに、自分自身で感じる雨は
 とても心地よく。
 この荷物さえなければ、ゆっくりと歩いたのに、と。

光。

2004年12月4日 雨降りの日。
 雨の匂いがした。

 寝過ごしそうになって、急いで降車ボタンを押して、財布を開く。
 バスから降りると、冷たい水滴がおちてきた。
 雨だったなんて、まるで気付かなくて、バスがとっくのとうに行ってしまったというのに、
 歩道ぎりぎりのところで、立ち竦んだまま。
 しばらく空を見ていた。

雨雪。

2004年11月19日 雨降りの日。
 凍えるような寒さの中

 雪のほうが暖かいのではないかと、そんなことを考える

散花。

2004年11月18日 雨降りの日。
 雨独特の匂いと
 この季節にいつも香る金木犀の匂いがする
 3日続いたこの雨で
 橙色の小花も殆どが落ちてしまっていた
 雨に濡れたアスファルトの上に散る金木犀は
 とても綺麗で
 遠くからずっと眺めていたいと想った。

通り道。

2004年11月12日 雨降りの日。
 目が覚めると、雨が止んでいた。

 朝から雨で、気温も低く、ただでさえ低血圧だというのに、
 さらに気分が急降下したわたしは、
 そのまま布団をかぶり、寝なおすことにきめたのだった。

 お昼すぎに目が覚めると、雨はもう止んでいて、
 わんさかと浮かぶ雲の何箇所もある隙間からくる光が、
 目が覚めたばかりの頭には、とても眩しかった。

明媚。

2004年11月1日 雨降りの日。
 目が覚めると
 雨はもうあがっていて

 わたしの頬は濡れていた。

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