何度目かの言葉は、思いの外痛くて。
 貴方にも、そう、思われているだろうとは思ってたけど、
 それでも、言葉にして言われると、世界に闇が落ちてきた。

ソカ。

2005年6月1日 雨降りの日。
 涙には、何の意味もないと知った。
 泣くことを誰が望むというの。

 あまり逢うことのない人に一日で何人もと遭遇すると、
 死期が近いのかと考える。
 そんな都合のいいことがあるはずもなく、馬鹿げたことだけれど
 はっきりとしない空模様は、私に答えを恵んではくれないから。

 足元を見る勇気もなかった。

 死ぬ間際まで祈ったことは、
 どうか無事にと、それだけで。

 傘がないから、
 ただそれだけのはずだったのに。
 きみとはこんなにも長く一緒にいる。

 白く曇った窓が、
 心に沁みて、暖かくも痛い、冬を思い出させる。

急く。

2005年5月23日 雨降りの日。
 強烈な、雨の臭いと煙草の匂いが。

 涙を後押しするように雨が降る。
 誰も、泣きたいなんて言ってないのに。

微量。

2005年5月12日 雨降りの日。
 有難いと、感じることは稀だけども。
 色が変わるように、はっきりとした変化があるわけでもないけど。
 貴方を想い出すにはちょうどいい。

反芻。

2005年5月6日 雨降りの日。
 雨のせいではないけれど、
 どうしても切り離せなくて、
 気付いてしまったことを悔いる。

残像。

2005年4月13日 雨降りの日。
 線ではなくて、点で、
 雪のようにみえた。

 あなたは、会話が必要と思ったのか、
 話を振ってくれていたのに、素っ気なくてごめんなさい。
 何の感情も浮かばない程に、心が揺れていたの。

  **

 もう、二度と会いたくはなかったのに。
 よりによって、こんな天気の日に、
 会うなんて思ってもみなかった。

 冷たい雨や風は、
 足と手を、間接から削ぎ落としそうで
 そうしたら、もう、あなたのもとへ行けないな、と思って、
 もう一度抱いてほしかったなぁ と思った。

 駅から出ると、空気が水っぽくて、
 明日は天気予報どおり、雨だろうと想った。

 期待した。
 先触れがあったのだから、やがて来るだろうと。
 空を見つめ、ずっと待っていたのに。

霧雨。

2005年3月28日 雨降りの日。
 帰りには上がっていた雨は、
 水を含んだ空気を霧のように残して、

 夜に溶けた。

薄闇。

2005年3月23日 雨降りの日。
 半身がないというのに、
 雨は容赦なく降る。

 否応なしに変わることなく。

 久しぶりに雨に触れて、
 空を仰いだのに。

春雨。

2005年3月17日 雨降りの日。
 日の長さで、季節が変わるのを少しずつ見るのが好きだったのに。

 今日は雨。

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