あいにゆくと言ったけれど、
あなたはいつまでも来なかったので、
私は只々寂しいのです。
信じることなどしないから、
どうぞ、愛を吐かないで。
なにがいけないというの。
道徳とか、そんな目にも見えなくて不確かなものに
どうして従わなければならないの。
慣れというのは、いずれくるもので。
一生、それが訪れなければいいと思うのは
いけないことなのだろうか。
囁くように、
嘆くように、
手を止めないで、
色を足して。
泣きたくはなかった。
こんな涙なんて流したくなかった。
泣いて何が減るというの。
やり場の無い気持ちの、
衝動だけがどこかに消えて、
置いてかれた想いだけが濃くなる。
痛みに耐えかねて吐く想いは、
決して綺麗なものではないのでしょうね。
今まで一度も、
願ったことがなかったのに。
一瞬頭を過ぎっただけなのに、
あっさりと神は声を届けてしまうのか。
叫んだ。
届かない声でも、
どこかにぶつかればいいと思った。
反射して、消えてしまっても。
染みがつけばいいと思った。
西日差し込む窓辺から、
充分にあっためた掌を
あなたを迎えるために伸ばす。
喜びを感じよう。
哀しみに感謝しよう。
愛しさを噛みしめよう。
在るということより、
無いということの方が難しい。
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