忘れようと思って、目を閉じた。
浮かぶのはきみばかりで、
忘れることを、忘れるために思い出すなんて
馬鹿だと気付くのに大分かかった。
「好きになるのは、見返りが欲しいから」
それは違う。
一緒に居るのは、見返りが欲しいからかもしれない。
けど、好きになったことは違うでしょう
汚い部分を抱き込んでまで、
好きだなんて言えなかった。
"好きな人"は少なくて、
"嫌いな人"は極端に少ない。
あいにゆくと言ったけれど、
あなたはいつまでも来なかったので、
私は只々寂しいのです。
知らない、ということは怖いこと。
視えない、ということは恐ろしいこと。
届かない、ということは耐え難く、偲び難いこと。
信じることなどしないから、
どうぞ、愛を吐かないで。
畏怖の象徴であるかのように、
愛しさばかりが募った。
なにがいけないというの。
道徳とか、そんな目にも見えなくて不確かなものに
どうして従わなければならないの。
ひっかいて、ひっかいて
目的は傷を作るためじゃなくて、
すり減らすこと。
意味があればいいという問題ではないでしょう?
理由あれば罪が許されるわけではないのだから。
逆賊は死刑で、執行人は死罪。
息を止めて。
呼吸する間さえ惜しんで口付けを交わそう。
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