押し潰されてしまうような、不安が消えなくて
いつまでも袖を掴んでた。
しぼんでしまって、二度と元の形にはもどらなかった。
少し晴れ間ものぞく雨。
だから、キミの機嫌ははかりにくい。
君はただ単に、揺らぐことのないものが欲しかっただけだろう。
視界が悪くて、
前も後ろも見えなくて、
握っているはずの手さえ見失いそうになる。
理由はそこら中にあるのだから、
いくら探しても無駄なのだと、分かっていたなら
どうして早く教えてくれないんだ。
細切れになるほどに強く握ったつもりなんてなかった。
何も浮かばない、
何も残ってはいない、
だから、わたしはひとりなんだ。
雨の匂いと
土の匂い
体の芯が凍えるほどの冷たさと
ひかりと音と、
罪とか罰とか、
なんでそうやって荷物をわざわざ重くするの。
振り返る暇もなかったから、
ここがどこかなんて、答えられるはずもなかった。
正しいことなど何ひとつないこの世界で、
自身を貫くことは難しい。
欠けてしまったら、もう戻らないのだと
そのときになって初めて、やっと解かった。
失くしてしまうはずがないと、
無くなるはずがないと、そう知っていたから。
染みることなく、
弾いてしまうことが悔しくて、
どうしようもなくて、ずっと濡れていた。
名はありもしない枷をつくる。
名は名を縛り、身をも縛る。
夢みることを止めないで。
それさえ失ってしまったら、
もうなにもない気がするの。
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