当然のように風が吹いたから。
あなたがそのままに受け止めていたから。
私にもできると、
浅はかだった。
あまりにもゆっくりと過ぎるものだから、
大事なことが抜けていた。
綺麗な群青の空だった。
すぐに闇が深くなって、それは一瞬だったけれど、
不思議といつものような悲しみはなかった。
だって、顔を変えた空はやっぱり綺麗だったし、
涙さえ、信じることがなくなったのはいつからだろう。
なにならいいの。
いつならいいの。
この悲しみが止まるのは。
祈りたくなる、切な気持ちが込み上げてきて、
視界が曇る、外をみた。
少しずつ溜まって、
やっといっぱいになったのに、
それはまた少しずつ減っていく。
待っている間は酷く退屈で。
けれど、蟻一匹潰すことさえ億劫で。
度々思い出すわけじゃないけど、
浮かんでくるんだから仕方ない。
収まることのない、熱を押し込んで
見えることのない対岸を見つめ、祈る。
神になど祈りはしない。
それで雲が晴れるなら、なんと簡単だろうか。
口づけを重ねることが出来なくなるとしても、
言葉を無くしたかった。
意味も分からずにただ傍に居た。
考えようとも思わなかったし、
疑問にさえ浮かばなかった。
染まってしまえばいいと。
少しずつ沁み込んで、侵して、滴るくらいに。
捨ててしまうことはできないから、
雨で流れてしまえばいいと、想った。
雨が痛い。雨が痛い。
空が泣くという。
では雨は泣かないの。
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