好きなのは私だけでしょ。
と不思議、泣きながら言った君を僕の一言がどれだけ傷付けたのか、今気付いたよ。
遠いものだと思っていたから、
目の前にあると気付いた瞬間に、
とても痛く、グサリときたんだ。
消えなくて、消えなくて、
いつまでも、瞳の中に残ってる。
求めるものが間違っているのは分かっているけど、
それでも止まることはなくて、
術も持たない。
あなたの言葉にいちいち真面目になるのは馬鹿みたいで。
痛くないようにそっと流す。
この場に留める術がなくて、
耳に届く音だけが哀しくて、
いつまで泣いていいのか分からなかった。
意地はることしかできなくて、
突っ張ったままの腕がいたい、
ほんとうのことなんて何一つ知らないし分からない。
たった一つであろう真実とも出会えないから、
私はこの霞んだセカイで充分なの。
捨てきれず、溜まっていく一方で
成れの果てなどとうに知っているはずなのに。
あなたに何か言われることがおそろしくて、
耳を塞いで逃げた。
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